愛されたいと思うのだけれど



「愛してください」
「えっ?」

突然の恋人の台詞に、私は聞き返した。

『愛してください』?

「えっと、それは……」
「あの、その……なんていうか。オレは大好きなんスよね、キミのこと」
「うん」

それは十分すぎるくらいに感じていた。
部活にモデルにと忙しいはずなのに、彼は隣でいつも笑ってくれているから。

「別に見返りを求めてるわけじゃない、ってのは分かっててほしいんスけど」
「うん」

そこまで言うと、ギュッと、私の両手を握りしめて、真っ直ぐな目で私を見る。

「オレは、キミに愛されたいんス。骨抜きにされるくらい、愛してほしいっス」
「……」

そんな彼の真っ直ぐな言葉に、私のほうが骨抜きにされて。

「ねぇ、ねぇ? 愛してほしいんスけど、ダメっスか?」

ああ、この『愛おしい』という気持ちを、どうやったらキミに伝えられるんだろう。

- end -

14.08.09