焦がれた月日は教えてあげない



「教えてあげない!」

そう言って笑ったアイツの、ふわりと翻ったスカートを目で追うくらいには、オレも変わったようだ。

別にオレだって、女性恐怖症とかそんな真剣なもんだったわけじゃねぇ。
ただ、『苦手』だっただけで、決して興味がないとかそんなことはっ!! ……いや、忘れてくれ。

まあ、なんだ。
どんな理由があったにしろ、オレから告白する勇気はなかったって話だ。

話しかけられないくせに、アイツが他の男と話しているとイライラして。
目を合わせることも出来ないくせに、ずっと目で追いかけて。

「笠松くん」
「お、おぅ」

用事があって呼ばれる名前にすら、ドキドキしてロクに返事も出来なかったオレに、オマエから告白してきた。

「ねえ、笠松くんはいつから私のこと好きだったの?」

オレが最初に聞いたのに。
オマエは笑ってはぐらかした答えを、オレに聞くのか?

「さあな」

隣に並んだオマエの手を取って、オレも笑って答える。

(いつか、この手に指輪を嵌めた時にでも、答え合わせするか)

- end -

14.08.09