手を、繋いでもいいかな



ただ一言、なんでもない風に言えばいいのに。
どうしてこんなにも緊張してしまうんだろう?

「うー寒いっ!!」
「ああ」
「やっぱり、あっちの寒さと違う?」
「うーん、そうだな……寒いのはどこも一緒かな?」
「ふふ、そうだね」

白くて小さな両手をすり合わせて、ハァと息を吹きかける仕草に、その唇に、目が奪われる。

「はやく春来ないかな」
「そうだね」
「春が来て、3年になって。そしたらきっと、高校生活もあっという間に終わっちゃうんだろうな」
「そう、だね」

このままでいいのかと、自分に問いかける。
……いいはずはない。後悔は、したくない。

「あ、あのさ」
「うん?」

臆病なオレは、真っ直ぐ彼女を見て言えないから。
スカートの裾がフワリと舞うのを見てた。

「手を、繋いでもいいかな」

次に目に入ったのは、小さな白い手だった。

「私なんかの手でよければ、いつでもどうぞ」

そっと繋いだ手は見えていたとおり小さくて、柔らかくて、そして温かくて。

「ハハッ、こんなに温かいんじゃ離せそうにないな」
「離さなくて、いいよ」



ジワリ、繋いだ手の熱が上がった。

- end -

14.08.09