「はい」
渡されたメモを開くと、そこにはチ□ルチョコの様々な味が書かれていた。
味の前には1から13の数字。
「え?」
「一日1個」
「え?」
「だからぁ、1日1個食べて、14日に一番おいしかったの一緒に食べよ」
「14日…」
「一緒に食べるでしょ」
バレンタイン、覚えてたんだ。
「握手して」
本当に言いたいことは、したいことは違うのに。でも諦められなくて。
「あの、さ」
差し出した手が、思っていたよりも大きな手に包まれる。
それは、握手じゃない。
「好きなんだけど、抱き締めていい?」
私の言いたいことも、したいことも、全部君が叶えてくれた。
全く、この子ったら分かってるのかしら?
「れおー」
「はいはい」
無邪気に抱きついてくるこの柔らかい感触に、私がどれだけ我慢してるか分かってるの?
「れお」
「なぁに?」
「…なんでもない」
私の知らない顔で笑う。
「玲央」
『好きだよ』
分かってなかったのは、私の方だったようね。
放課後の図書室、夕陽の中まるで一枚の絵の様で。
私はただ見つめることしか出来ない。ううん、見つめられるだけでいい。
この静かな時間がずっと続けばいい、そう思ってた。
この時まで。
「っ!」
目が、あった。
近づく足音。
隣に並んで、そっと包まれた手は大きくて熱かった。
髪を切った。バッサリと。
友達はみんな『似合ってる』て言ってくれる。よかった、気づかれていな…
「なんか昨日よりブスだな、オマエ」
髪切ったから、そう言って笑えば「髪?ああ、短くなってんな」だって。
じゃあ、どこがブスなの?
「泣いたってバレバレなんだよ」
一人で泣いてんな
13.03.15