Log-11(チャットログ)


【 氷室 】

髪を撫でる手が好き。名前を呼ぶ声が好き。優しく笑う、目が好き。
そう伝えたら「驚いた。オレと同じなんて」だって。
でも、これは違うと思うの。『タツヤ』アナタの名前が、好きよ。

「残念。オレもキミの名前が好きだよ」


【 黄瀬 】

「黄瀬くん」
そう呼ぶ声に振り返ると、頬に刺さる指。
呼んだ声は彼女の声で、頬に触れている指も彼女のもので。
「へへっ、引っかかった!」
間近で笑う顔に、頬が熱くなる。

(この熱が、気持ちが、その指からキミに伝わればいいのに)


【 氷室 】

「好きだよ」
そう言って抱きしめれば、腕の中で固まるキミ。
そんなキミの反応が愛おしくて、髪にキスを落とすと、ビクリと跳ねる薄い肩。
ああ、この気持ちをどうやってキミに伝えよう。

I found you at last.
You are the one of my dreams I have been searching for.
(やっと会えた。あなたは私がずっと探しつづけた人。)

英文、訳:縁繋

【 黄瀬 】

「オレ、キミのこと好きなんス」
「・・・え?」
放課後の教室、日誌を書く金色の髪を見つめていた私に投げられた言葉。
・・・私、に?
「言っとくけど、お友達とかそういう意味での『好き』じゃないっスからね」
「え?」
上げた顔、向けられた強い視線に、息が止まった。


13.05.09