Log-19


【 ???/夏休み 】

『なにしてる?』

…変換しようとして、作りかけたメールを破棄する。
もう何回、同じことを繰り返した?

(昨日も、その前も)

夏休みに入ってから、毎日同じことの繰り返し。

『何してる?暇なら遊ばない?』

(…暇なわけないじゃん)

バスケ部のアイツに、暇な時間なんてあるわけ、ない。


【 高尾/夏休み 】

アドレスを交換したのは、夏休みの前。

「あんまりくだらない事でメールしてこないでよ?」

そう言って笑った顔がチラつく。

(くだらない事、ねぇ)

『今度プール行かね?』

(…いやいや!初メールがプールって!)

「ないない」

破棄したつもりが保存になって。

(未練たらしい)


【 緑間/夏休み 】

『宿題は終わったか』

自分の携帯に表示されている文字を見て、軽く頭痛がした。
こんな時、自称相棒のアイツなら自然な言葉を紡ぐことが出来るだろうか。

(長い、な)

生ぬるい風が肌を撫でる。

夏休み前日、「バイバイ」と挨拶をしたきり、声を聞いていない。

姿を見ていない。


【 黄瀬/夏休み 】

「あー、今日も疲れた」

声に出しても、誰も応えてはくれない。
『お疲れ様』彼女の声は聞こえない。
携帯を見ても、メール受信を知らせる点滅はない。

夏休みは待ち遠しかった。
けど、始まってみたら思っていた以上に

「…キツいっスね」

思ってた以上に、キミが好きみたいっス。


【 笠松/夏休み 】

『次の登校日は委員会があるから…』

送られてきたメールに返信を打つ。

『了解』

(それから、)

何か一言。さりげなく、なにか。

「…だぁっ!!」

結局いつもどおり、返信は二文字だけ。アイツからの返信は、もちろんない。

(そりゃそうだ)

オレに、落ち込む資格なんかねぇ。


13.08.17