なりたいものは、夢はたくさんあった。けど、どれも叶わないと知ってしまった。
「はぁ、現実って辛い」
「んー、そうかな?」
「そうだよ」
「でもさ、」
そう言って、コガは私の頭をポンポンと叩いて、目を合わせて笑う。
「辛いって言えるんなら、まだ大丈夫だって」
つられて私も笑う。
「「あ」」
昼休みがもうすぐ終わる。
自分の席に戻れば、隣の席の女子が制服の袖で目元を擦っていた。
「えっと」
「い、今まで寝てたの。アクビしたら涙出ちゃった」
そう言って笑うけど、目が赤い。
「あるよな!」
「でしょ!」
気付かないフリで笑う事しかできないのが、悔しい。
「おやすみ」
そう言って、君が目を閉じたのを確認してからオレも目を閉じる。
今日も彼女は笑っていた。
眠りに落ちる、その瞬間まで幸せそうに。
それでも不安になるのは、
(心から君を愛しているから、かな)
自分の考えに小さく笑う。
おやすみ、愛しい人。明日も愛してるよ。
愛してる、その言葉の意味が分からない。好きよりもっと好きなのが、愛してる?
…分からない。
だから、私は好きな人に「愛してる」と言ったことがない。でも
「…ちょいと幸男さん、苦しいですよ?」
「黙ってろ」
「…はい」
痛いくらいに抱き締めてられて、伝わる熱。
なんて愛しい。
連休は嬉しくて、嬉しくない。
(部活あるから学校行くのに、アイツいねーし)
同じクラス、挨拶くらいはするクラスメイト。特別仲がいい訳じゃねーけど。
それでも部活中、体育館の外を見てしまうのは、
『もしかして』を期待しているからで。
「んなとこ、後輩に見せられっかよ」
14.01.31