Log-24


【 森山 】

「試してみる?」

そう言って、彼は私に手を差し出した。

「え?」

差し出された手と彼の顔を交互に見ると、楽しそうな声で続けて言った。

「オレと、楽しい学園恋愛を試してみないか?」
「…え?」

夕日の差す放課後の教室に二人きり、


差し出された手は、小さく震えていた。


【 火神 】

こけた。それはもう盛大に。

「なんで、なんもねーところでコケるんだよ」
「…」

そんなの私が知りたい。
好きな人の目の前で、小さな子供みたいにこけたまま、私は立ち上がれない。

「ま、そんなところも好きだよ」
「!」


「な、なんだよ!好きじゃ悪ぃのかよ!」
「ううん!」


【 笠松 】

「ったく、ほら」

難しい顔をした彼が、両手を広げて私を呼ぶ。

「え?」
「日曜だからな」
「うん…?」

日曜だから、なんだと言うのだろう?
そんな思いが顔に出てたのか、彼の眉間のシワが更に深くなる。

「充電、いらねーのかよ」
「!!」

理解するより早く、広い胸に飛び込んだ。


【 紫原 】

「ふぁ…」

頭上から大きなアクビが聞こえて見上げる。

「眠いの?」
「うん」
「でも、寝てたよね?」
「…うん」

返事の間が気になってジッと見つめる。

「…だって」

そろそろ首が痛くなって来た時、ポツリと落ちてきた言葉。


「だって、オレが寝返りしたらちん、潰しちゃうし」


【 宮地 】

「ずっと好きでした」

そう、好きなヤツから告白された。

「聞いてくれてありがとう」

そう、吹っ切れたように笑う。

「これでやっと、次に進める…」
「『次』ってなんだよ」
「え、」
「オマエに『次』なんてねぇよ」

「勝手に過去形にすんな、轢くぞ」


頼むから、次なんて言うな。


14.01.31