Log-25


【 森山 】

「ずっと好きでした」

キミが笑う。

「ただ、私が好きだった。その事を言いたかっただけなの。だから気にしないでね」

へにゃり、眉を下げて。泣きそうな顔で笑うキミが愛しくて。
キミにそんな顔をさせるつもりはなかったんだ。

「オレも、ずっと好きでした」

だから笑って。


【 紫原 】

「ちょっとは自惚れなよ。アンタのためなんだしー」

そう言って、紫原は私を抱きしめた。
あの大きな体が私を包むのだから、何も見えない。

「オレが女子にこんなことするの、アンタだけだって気づいてないの?なにそれムカツクー」

うわん、と声が響いて聞こえる。

心臓の音も響いて、


【 笠松 】

「しゃんとしろ!」軽く背中を押せばその軽さに、

「無理すんな」肩を叩けばその薄さに、

「よくやったな」頭を撫でれば髪の柔らかさに

驚いた。

なんでこんなに気になるのか、目が追うのか。
撫でる髪の間から見えた、安心しきった顔に息が詰まる。


ああ、好きってこういう事か。


【 高尾 】

揺らさないで。水底に沈めたこの気持ちを、どうか揺らさないで。

「よっ!おはよう」

掛けられた声に、水面のが揺れる。

「ハハッ!マジで?」
「本当だよ!」

女子と笑い話す声に、水底が揺れる。
どうかこれ以上揺らさないで。

『好き』という気持ちが濁ってしまうから。


恋は汚い


【 緑間 】

嫌な女、自分でもそう思う。けど好きになってしまったのだから仕方ない。
決して報われない恋をしたのだから、仕方ない。

「な、なにを!」
「ちなみに、私のファーストキスだから」

隙をついて盗んだ唇の、温もりを覚える間もなく引き剥がされて。


忘れないで、どんな形でも。


14.01.31