賑やかな教室の一角から、聞き馴染んだ声がする。声の感じからすると……アイツにとっては、あまり面白くない話のようだ。
それでは、ちょっと耳を傾けてみましょう(笑)
「ねぇ、好「きではない」
「付き「合ってなどいない」
ふむふむ。高尾和成の推理によると、クラスメイトの彼女は緑間に『好きな人』の事を聞いているようだ。
オレってば名探偵!! ……てか、こんな面白い話、見過ごす方が無理じゃね?
「なになに? なーに面白い話してんだよ。オレにも聞かせろよ」
「高尾……」
「ちょうどいいところに!!」
オレの登場に、大きくため息をつく緑間と、緑間とは反対に目を輝かせる彼女。
えっと、その目の輝きは……なんかヤバくね?
「ねぇねぇ、高尾くん。高尾くんって緑間くんのこと好き?」
「は? いや、うん。まあ、嫌いだったらこんなつるんでねーよな」
「じゃあさ、じゃあさ! 二人って付き合ってるの?」
「……はぁ?」
耳に入った言葉の意味は分かるけど、分からなくて。確認するように緑間を見れば、さっきよりもさらに大きなため息が聞こえた。
(ハッ! オレってば閃いたかも? 天才かもっ!!)
ため息をつく緑間の姿に、オレはこみ上がってくる笑いを必死に抑える。
「付き合ってねーよ。だって、緑間が好きなのはオマエだもん。なぁ、真ちゃん?」
「たかおっ!!!」
「……は?」
ニヤニヤ笑いながら、オレは二人を眺める。
「だから、さ。もっかい聞いてみな。『私のこと、好きなの?』ってさ」
ま、聞くまでもないよな。
緑間の耳まで真っ赤になった顔見れば、さ。
んで、緑間も言えばいいじゃん。
同じくらい顔真っ赤にした彼女にさ。
『オレと付き合うのだよ』ってね。
さっ、これにて一件落着。今日も名探偵はクラスの平和を守りましたとさ。
- end -
13.07.04
『ねぇ、好「きではない」『付き「合ってなどいない」て食い気味に否定する真ちゃんが、頭の中をぐるぐるしてたので吐き出してみた。